「遺言を作ろう」と決めたものの、公正証書と自筆証書、どちらを選べばいい? と迷われる方は多いです。
一般的には「自筆証書なら費用もかからないし簡単では?」と考えがちですが、後々の検認手続きや無効リスクを考えると、単純に費用だけでは判断できません。
この記事では、両者の違いを踏まえた「あなたにとって最適な選択」の判断ポイントをお伝えします。
費用で見ると、自筆証書が圧倒的に安い――ただし…
自筆証書遺言は作成に費用がかかりません。紙とペン、そして時間があれば完成です。
一方、公正証書遺言は公証人の手数料がかかります。遺産額によって異なりますが、通常は数万円から十数万円程度の費用が発生します。
「費用を抑えたい」というお気持ちは理解できますが、ここで重要なのは後にかかるコストの方が大きくなる可能性です。
自筆証書遺言の最大の落とし穴:「無効リスク」
自筆証書遺言は厳格な要件が定められています。「全文を自書し、年月日を自書し、押印しなければならない」とされており、たった一つの要件を満たさないだけで、遺言全体が無効になる可能性があります。
実務では次のようなケースで無効判定されています。
- 日付が「2026年3月」のように日の記載がない場合
- 署名が本名でなくペンネームや商号のみの場合
- 訂正の方法が要件を満たしていない場合
- 認知症の進行により意思能力が疑われる状態で作成された場合
公正証書なら、公証人がその場で要件をチェックします。「後から無効と判定される」という悪夢を防げるのです。
検認の手間:自筆証書は相続人全員を巻き込む
自筆証書遺言を使用するには、相続開始後、家庭裁判所で検認手続きを経なければなりません。
- 相続人全員を通知する必要がある
- 家庭裁判所に出向かなければならない
- 検認調書の申請・取得に時間がかかる
- その間は遺産の処分が止まる
一方、公正証書遺言は検認が不要です。取得した謄本をそのまま銀行や法務局に提出できるため、相続手続きがスピーディーに進みます。
相続人同士の関係が良好でない場合、検認で揉める可能性も高まります。
財産構成と家族関係で選ぶべき遺言のタイプ
自筆証書が向いているのは次のようなケースです。
- 遺産が少なく相続手続きが単純な場合
- 相続人が一人か関係が非常に良好な場合
- 将来頻繁に内容を変更する可能性がある場合
- 秘密裏に作成したい場合
一方、公正証書が向いているのは次のようなケースです。
- 遺産が多い・複数の不動産や株式がある場合
- 相続人が複数いる・関係が複雑な場合
- 二次相続を見据えている場合
- 後々の紛争を最小限にしたい場合
- 認知症や高齢で遺言能力を疑われる可能性がある場合
多くのご家庭にとって、公正証書が最適です。数万円の投資で、数百万円の紛争コストや手続き負担を削減できるからです。
当事務所では、状況に応じた遺言作成をサポートしています
遺言の選択は「どちらでもいい」ではなく、あなたの財産構成、家族関係、将来の希望によって最適な方法が異なります。
当事務所では、初回相談時に現状をお聞きした上で、あなたにとって本当に必要な遺言形式をご提案します。また、公正証書遺言の作成をサポートし、相続時の手続きもワンストップで対応可能です。
遺言は「いつか作ればいい」ではなく、元気なうちに、正確に、安心した形で作ることが何より大切です。
ご不明な点や、遺言作成をお考えでしたら、お気軽にご相談ください。