「相続登記」が義務化されたのをご存知ですか?放置すると過料も
- 優希 澁田
- 31 分前
- 読了時間: 4分
「親の家の名義、まだ親のままだけど、いつか変えればいいか」——そう思っている方は少なくないのではないでしょうか。
実は、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しなければ、正当な理由がない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。
しかも、この義務は2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。「何年も前に親が亡くなったけど、名義変更していない」という方も、対象になるのです。
なぜ相続登記が義務化されたのか
相続登記が義務化された最大の理由は「所有者不明土地」の問題です。全国の土地のうち、登記簿を見ても所有者がわからない、または所有者に連絡がつかない土地が約24%にのぼるという調査結果があります。
所有者不明の土地は、再開発や公共事業の妨げになるだけでなく、管理されないまま放置されて近隣に迷惑をかけるケースも増えています。この問題を解消するために、法律が改正されたのです。
つまり、相続登記の義務化は「個人の問題」ではなく、社会全体の問題として国が動いた結果です。
具体的に何をしなければならないのか
相続登記の義務とは、簡単にいえば「不動産の名義を亡くなった人から相続人に変更する手続き」です。期限は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。
ここで注意が必要なのは、「知った日」の解釈です。多くの場合、被相続人(亡くなった方)の死亡日がこの起算点になりますが、相続人であることを後から知ったケースでは、その知った日が起算点になることもあります。
また、2024年4月1日より前に相続が発生していた場合は、2024年4月1日または相続を知った日のいずれか遅い日から3年以内が期限となります。つまり、過去の相続分については2027年3月31日が一つの区切りとなります。
「相続人申告登記」という選択肢もあるが…
遺産分割協議がまとまらず、3年以内に正式な相続登記ができない場合に備えて、「相続人申告登記」という新しい制度も設けられました。
これは、「自分が相続人であること」を法務局に申し出るだけの簡易的な手続きです。この申出をしておけば、ひとまず義務を果たしたことになり、過料を避けることができます。
ただし、相続人申告登記はあくまで暫定的な措置です。不動産の売却や担保設定など、実際の取引を行うには正式な相続登記が必要です。「とりあえず申告登記しておけば安心」というわけではなく、最終的には遺産分割協議を行い、正式な登記を完了させなければなりません。
相続登記が難しい理由
「名義を変えるだけなら簡単そう」と思われるかもしれませんが、実際にはさまざまなハードルがあります。
まず、相続人の確定です。亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、法定相続人が誰なのかを確認しなければなりません。前婚の子や認知した子がいた場合、想定外の相続人が現れることもあります。
次に、遺産分割協議です。相続人全員で「誰がその不動産を取得するか」を話し合い、合意する必要があります。相続人の中に連絡が取れない人がいたり、意見が合わなかったりすると、協議そのものが進みません。
さらに、登記申請に必要な書類の準備があります。戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書、印鑑証明書など、多数の書類を正確に揃える必要があります。書類に不備があれば法務局から補正を求められ、何度も足を運ぶことになります。
放置し続けるとどうなるか
相続登記を放置し続けると、時間が経つほど状況は悪化します。
たとえば、父が亡くなった時点で相続人は母と子2人の3人だったとします。この段階で相続登記をしていれば、3人で話し合えば済みました。しかし、登記をしないまま母も亡くなると、母の相続分についてさらに相続が発生し、関係する相続人が増えます(これを「数次相続」といいます)。
代を重ねるごとに相続人は増え続け、最終的には面識のない親族同士で遺産分割協議をしなければならない事態になります。実際に、相続人が数十人に膨れ上がり、全員の合意を得ることが事実上不可能になったケースも報告されています。
こうなると、個人で解決することは極めて困難です。早い段階で手を打つことが、後のトラブルを防ぐ最大のポイントです。
まとめ:期限が迫る前に、まず相談を
相続登記の義務化は、多くの方にとって「知らなかった」では済まされない制度変更です。特に、2024年4月以前に相続が発生している方は、2027年3月末という期限が近づいています。
必要な書類の収集、相続人の調査、遺産分割協議のサポート、そして登記申請の手続き——これらを一人で進めるのは大きな負担です。
当事務所では、相続登記に必要な戸籍の収集から遺産分割協議書の作成まで、一連の流れをサポートしています(登記申請自体は提携の司法書士が対応します)。「何から始めればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
